【FILMS】EXPO’75 OKINAWA 沖縄国際海洋博覧会

1975年沖縄国際海洋博覧会の初日の映像。8mmにしては長尺の27分。さまざまな海洋博の風景を記録した映像です。

No. 0161-00
タイトル:EXPO’75 OKINAWA
撮影者:真境名敏夫(Toshio Majikina)

撮影メディア : 8mm Film/Color
本編時間: 27m8s
撮影時期 : 1975年7月20日
主なロケ地 : 沖縄海洋博覧会会場 (沖縄県本部町)
スキャン方式 : Frame by Frame
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主なロケ地表示(Google Map表示)
海洋博記念公園

 

フィルムの箱には、撮影日が1975年7月20日と書かれておりますが、この日は沖縄国際海洋博覧会(以下、海洋博)の初日のはずです。

» 沖縄国際海洋博覧会 | ウィキペディア

映像の始まりは、撮影者の自宅付近と思われる場所で撮影された植物。そして海洋博までの行程を、手持ちの観光地図で表現します。注目すべきは、シンボルマークのイルカ(オキちゃん)ではなく、WOSクジラ館の建物が描かれていること。特徴的なクジラ型のデザインが、地図を作った人にもインパクトがあったのでしょうか。あと伊江島の雑すぎるデザインにも驚きますが…せめて特徴的な城山(伊江島タッチュー)くらいは描いて欲しいところです。

▲海洋博の地図でドライブの行程を表現。

車で海洋博会場に向かう様子に続きます。ここで映る整備された道路は、日本復帰後に海洋博を目指して整備された国道。最初は浦添市のブルーシール、嘉手納基地などを西海岸側を走っています。そこで石川発電所らしき建物が見えますが、そこで東海岸側に出たのでしょうか。しかし移動の向きが逆方向に見えます。ちょっとした謎。

▲海洋博会場へのドライブ。浦添市のブルーシールは絵になります。

 

海洋博会場のゲート付近に映像は映ります。駐車場からゲートに向かう橋はものすごい人だかりができています。入口ではテレビの中継を待つ司会者らしき男女が立っています。おそらく、うつみ宮土里さんと長沢純さんのお二人ではないかと思われます。

 

▲司会者ふたり。おそらく、うつみ宮土里さん(左)と長沢純さん(右)ではなかろうか。

 

最初に映るパビリオンは氷山の形を模した「海洋みどり館」。北極や南極の海をテーマにしたものです。この辺りは海洋博会場の中の「船のクラスター」と呼ばれる場所で、すぐ南にはEXPOポートという港があり、停泊中のホバークラフトなどが映ります。ホバークラフトが港に着く迫力の映像は、以前投稿した下記のリンク先で見ることができます。

» 【FILMS】沖縄海洋博 那覇新港よりホバークラフト | 沖縄アーカイブ研究所

 

また冒険家の堀江謙一さんが小型ヨット単独無寄港太平洋温暖に使用した「MERMAID Ⅲ号」なども屋外展示されていました。

▲おそらく堀江謙一さんが太平洋単独横断に使ったヨット、マーメイドⅢ号。

 

そして未来の海上都市と呼ばれた「アクアポリス」は内部の展示は、部屋の要すよりも、サイン関係や、模型など、他の人が撮影しないものばかり記録していて、目の付け所がユニーク。チラリとですが、台風時のアクアポリスがどのように避難するのかを示すミニチュアの実演風景や、「恋人求む」などトンチキな書き込みなどがある未来都市にはそぐわない連絡用掲示板が映し出されたり、目の付け所のユニークさを感じます。

▲アクアポリスのミニチュアによる台風避難のシミュレーション。揺れすぎ(笑

 

さらにアクアポリスから見た、会場南側のパンショットがおもしろい。前述の海洋みどり館からスタートし、海洋博の港であるEXPOポート、渡久地港、本部港、瀬底島まで映っているので、位置関係などがわかりやすい。またEXPOポートに停泊している船の船体には海洋博のロゴがプリントされていますが、これは先日更新した「皇太子来沖と海洋博」にも映っていた伊江島航路の船に似ています。だとしたら「皇太子来沖〜」の港も同じ場所である可能性も出てきます。

 

▲アクアポリスから見た海洋博の南側から瀬底島まで(クリックで拡大)。

 

また大阪の万国博覧会ではアメリカ館、ソ連館など、国ごとのパビリオンが建ち並んでいた。万国博覧会だからあたり前なのですが(これは同じ撮影者の撮影した下記のリンク先でも見ることができる)

» 【FILMS】EXPO’70 大阪万博に行く | 沖縄アーカイブ研究所

海洋博では各国の単独のパビリオンはなく、国際1号館、2号館、3号館という三つのパビリオンに、いくつかの国がブースや部屋を分けて参加する長屋形式になっていましたた。単独のパビリオンは三菱未来館、芙蓉グループパビリオン、三井こども科学館など、企業参加によるものか、沖縄県の沖縄館など、行政の作るものがメインになっていたことに気が付きます。

 

▲ソ連館かんとあるが、複数のブロックが連なる国際2号館の1ブロック。

 

獅子舞などの民俗芸能が披露されているのはアクアポリスの正面にある「夕陽の広場」。

▲夕陽の広場では、さまざまな芸能イベントも行われた。

などなど、他にも様々なパビリオンはもちろん、エキスポランド、エキスポビーチなどが紹介されていくので、人によっては思い出深い場所を見ることができるのではないでしょうか。

 

▲WOSクジラ館はクジラの形のパビリオン。長蛇の行列を陽射しから守る尾ひれ部分。

 

▲芙蓉グループパビリオン。名前だけでは内容がイメージできないのが子供心に気になっていた。

 

▲三菱海洋未来館も長蛇の列ができる人気館。

 

追補 イルタンについて

冒頭に映り込んでいる謎の着ぐるみの正体がわかりました。

“イルカファミリー”と呼ばれるキャラクターで、映っているのはイルタンのパパと兄。他にもイルタンと母、姉の5頭のイルカ家族構成です。

イルタンの詳細は下記リンクのある「ひこまる通信」で連載記事がなので、ぜひご覧ください。けっこうおもしろいです。

»イルタンの謎を追え! その① | ひこまる通信

海洋博の公式キャラクターはオキちゃんですが、オキちゃんは簡素化されたシンボルマークと、実際のイルカの名前でもあり(厳密にはチーム名で、現在も初代オキちゃんの一頭はご存命らしい)、ここまで擬人化したキャラの展開はやりづらかったのかもしれません。

そのスキをつくようにライセンスを取った会社がグッズ展開のために作り上げたキャラが、このイルタンファミリーだったのかもしれません。あくまでも推測ですが。

(文:真喜屋力)

 

▲謎のキャラ、イルタン兄(手前)とイルタンパパ(奥のベレー帽)。

 

 

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