- この一枚の写真は、1960年代の沖縄の遊園地での一枚。猿といっしょに遊具に乗っているのが、写真を提供していただいた大宜見しょうこさん。その後ろでサングラスをかけて見守っているのがお父さんの大宜見小太郎さんです。
大宜見小太郎と言えば、沖縄芝居の大御所中の大御所。戦前の映画『執念の毒蛇』には当時の芝居小屋が映りますが、そこの看板にも名前が乗っているようなかたで、戦後は大伸座を率いて、芸能の復興を牽引してきたお一人です。残念ながら1994年に亡くなられましたが、大伸座は現在も健在で、その代表を務めるのがお猿さんと並んで映っているしょうこさんです。
芸能の大御所とその娘の貴重なプライベートな写真ですが、問題は”猿”。どもうこの猿は、動物園から脱走した猿なのですが、寂しかったのか、逃走に疲れたのか、しょうこさんの横でのんびりしていたようです。
結果的にはほのぼのした写真ですが、脱走した猿が、たまたまそこにいた子供の横に座るなんて、現代なら大問題になる瞬間でしょう。しかしまあ大らかな時代であったせいもあり、さほど大事にはならずに、ほのぼのした思い出として、語られていたようです。
しかし僕らにとって問題なのは、この写真がどこで撮影されたのかということです。大宜見しょうこさんも、撮影場所はハッキリ覚えていないものの、中城城跡公園ではないかということでした。確かに背後に見える「ポンジュース」の広告がある遊具は、中城城跡の遊具に似ています。しかし、それだけではメタ情報として中途半端でした。
なぜかと言うと、この小さな車の遊具は、これまで私たちが入手した映像では見たことがなく、確定として出すには十分ではなかったのです。
ところが昨年届いたフィルムに、この写真の遊具が映っている映像が見つかり、めでたく中城城跡公園での写真ということが確定いたしました。
遊具の映像は、当ブログで最近発表した動画で、下のリンク先で観ることができます。
また、以下のリンクには、この遊具の残骸(車が無くなっている)らしきものが映っていることも、後にわかりました。
8ミリフィルムには遠目にしか映っていないので、このような写真があることで、イメージがより鮮明になります。これからも様々な情報で補完しながら、アーカイブを濃いものにしていきたいと思います。
(文:真喜屋力)
タグが大宜味小太郎になってますよ?
ありがとうございます。修正しておきました。