1月15日(水)
「いきがいのまちデイサービス美里」で上映会を行いました。
地域の婦人会のかた、この施設に通われるかた、ここで暮らされている方々が集まりました。なかでも沖縄市在住のかたが多いようでした。
まずは8mmフィルムの紹介を
真喜屋のナビゲートによる8mmフィルムの紹介を、映像を見ながら行います。
赤ちゃんを金盥で洗う様子、布おしめがたくさん干された洗濯物など、映し出される生活の風景に覚えのあるかた、そして8mmフィルムに馴染みのあるかたも多いことから「みんなこうだったよ。」という声や、「うん。うん。」と頷いたり、前のめりでご覧になる姿が見受けられました。
クイズを交えて
最初は、クイズを交えていくつかの映像を観ます。
本土復帰式典当日の映像、アイゼンハワー大統領の沖縄訪問時のパレード、本土復帰直前のパスポートが使用されていた那覇港での風景など。
那覇港の映像に映る物売りのおばあさんが何を売っているか?の質問に、「テープを売っている」と即答する方がいらっしゃるのも、この世代ならではの反応です。当時、映像に映る場所周辺に住んでいて、58号線にアイゼンハワー大統領を観に行ったかたもいらっしゃいました。
ひとりの男性が音の無いエイサーの映像に「ハイヤー!」「スイ、スイ!」と掛け声をあげる瞬間もあり、映像にも、この場にも躍動感が生まれました。
問いかけと反応、そして対話のある場
この上映会は、映像を流すだけ、ただ解説を添えるだけではなく、真喜屋が皆さんに問いかける対話形式。はっきり返答する人ばかりではありません。
それでも、表情は動き、息づかいが返ってくるものです。休むことなく反応が返ってきていました。
また、作業療法士さんも「昔はどうだった?」など問いかけ、さらに参加した皆さんを和ませました。
「この頃から浴衣があったね、その前は・・・」「車の数が少ないねえ」「胡屋から北谷に行くときは基地の中通って横断してた」「ニシムイの映像がみてみたいです」など、この場に生まれた言葉は尊さを感じさせます。
集まった方々の全てが、集中してその場所に居続けたわけではありません。
時間を気にして途中でお部屋に帰られた女性は、「子供が帰ってくる時間。待っていてあげないと!」と帰りたがりました。作業療法士さんの話によると、「映像を観て気持ちが若返ったかもしれない。子供が小さかった頃の自身に戻って、子供が帰るのを迎えないといけない!と心配になったのかも。」とのことでした。ほかにも「わかる。」とつぶやいて出て行ったかたもいました。
最後は、この映像!
「最後は、この映像を!」と、カチャーシーの映像を組み合わせ「唐船ドーイ」の音楽を添えた映像を、会場から少しばかり起こった手拍子に合わせて観ました。このような雰囲気の中、上映会は終了。
短いようで長い1時間
短いようで長い1時間。ほぼ全ての皆さんがじっと映像を見つめ、参加し続けました。作業療法士さんは「皆さんとても穏やかな表情だった」と仰っていました。
集中力が刺激されると、すぐ後の行動に一時的に変化が生じるかたがいらっしゃるのだそうです。思考がはっきりした状態になり、掃除を始めたり、会話した時につじつまが合う瞬間があったり。また、昼間に集中力が刺激されると、夜は眠れるようになり、昼夜が逆転した生活リズムを整える効果も期待できるのだそうです。
終了後も、皆さんはとても楽しそうな表情でした。疲れたでしょうか。疲れることもまた、ひとつの過ごしかただったかもしれません。この上映会が、この後にやってくる皆さんの時間にとって、ささやかな何かをもたらす体験であることを願います。
(文:鳥井由美子)
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