「ニシムイ〜或る日の玉那覇正吉」は、ニシムイの画家、玉那覇正吉のアトリエの風景を収めた8ミリフィルムで、大正生まれの8ミリフィルム愛好家、遠藤保雄さんによって撮影されました。これも今年の沖縄国際映画祭「デジタルで甦る8ミリの沖縄」で上映されます。
ニシムイは戦後の沖縄で、米軍が作らせた美術村と言われている。そこに集められた画家たちは、米軍人やその家族の肖像画を描くことで生活の糧を得ながら、独自の芸術活動を築いていたと言います。その様子は僕にとっては一種の伝説の一コマでした。しかし、遠藤さんのフィルムには、その玉那覇正吉が実際に米国軍人の家族をモデルに絵筆を握っている姿が記録されています。撮影者の遠藤保雄さんは、玉那覇さんとはお知り合いでもあり、ホームムービーの延長で自然体の様子を見ることができます。
遠藤保雄さんは、先日紹介した屋冨祖正弘さんより二つ年上。大正生まれの8ミリ作家。1951年から後世に残す記録を意識してフィルムを回し続けてきました。1950年代のがら、多くの決定的瞬間を僕らに見せてくれます。驚くのは未だご健在であり、4月21日の上映会にも登壇予定、さらに4月23日のレッドカーペットのパレードにも、最年長の映画監督として歩いていただく予定です。
今回上映される遠藤さんの作品をいくつか紹介しますと、「東映 vs 西鉄」は、沖縄で最初に開催されたプロ野球の公式戦、東映フライヤーズ対西鉄ライオンズ。最近テレビのCMで「56年ぶりにライオンズがやってくる」と宣伝しているますが、その56年前の試合とともに、当時の奥武山球場などを見ることができる。
「糸満豊年祭 綱曳き」は1957年の糸満の綱曳きとパレードの様子を写した力強い作品で、こちらはノーカット(10分)をご覧いただきます。糸満ロータリー付近の道路や家々の屋根を埋め尽くす大観衆の熱気、そして今とは大きく異なる建築物など、見どころ満載。
「ひめゆりの塔 慰霊祭」は1951年に行われた慰霊祭の様子。卒塔婆のような墓標が無数に立ち並び、埃っぽい日差しのもとで繰り広げられる慰霊祭。未だ戦争の記憶が生々しい、ひめゆりの塔に集まる人々をうすしだす映像。さらに仲宗根政善さんはもちろん、USCARの取材で訪れる川平朝申さんなど、沖縄の戦後史に名を残す人々も映し出されます。
撮影者の遠藤さんは、もともと高圧送電線の技師として沖縄にやってきたたという特殊な経歴を持ち、米軍のヘリコプターに同乗して、空から沖縄の街を撮影するなどの機会にも恵まれました。
他にも本土からの客を連れて名所を回るドライブ映像もあり、そこには戦後も現役で帆走している山原船など、見たことのない動画、しかもカラーで楽しめます。
第9回沖縄国際映画祭は、入場無料。みなさまお誘い合わせの上、お越しください。
島ぜんぶでおおきな祭 第9回沖縄国際映画祭
沖縄ヒストリカルムービー
「デジタルで甦る8ミリの沖縄」
日時:2017年4月21日(金) 17:00〜
会場:よしもと沖縄花月
チケット:無料
公式情報:https://oimf.jp/movie/detail/45/
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