N0. 0808-00
撮影者 : 中山良彦 (Yoshihiko Nakayama)
タイトル:海外旅行 パリ(一部)ノートルダム寺院
Overseas travel Paris: Notre-Dame,本編時間: 29s
主なロケ地 : ノ-トルダム寺院 (フランス,パリ)
撮影時期 : 1970年前半
撮影メディア : 8mm Film
スキャン方式 : Frame by Frame
2019年4月15日、パリのランドマークであったノートルダム寺院が火事で燃えてしまった。幼いころから、そして先祖代々見てきたであろうランドマークが、目の前で崩壊していくさまは、一種のアイデンティティ・クライシスとも言える。火災の映像に重なる、パリ市民の悲壮感漂う嘆き声に胸が締めつけられるようだった。
實は私たち「沖縄アーカイブ研究所」にも県外、海外の映像がいくらかある。先月入手したフィルムにはパリで撮影されたノートルダム寺院も映されていた。旅行先の記録なので、チラリとではあるが、哀悼の意を込めてここにアップすることにしました。
撮影者は中山良彦さん。戦後沖縄の著名な文化人の一人で、御存知の方も多いでしょう。中山さんの撮影された映像には「古宇利島のウンジャミ」など、貴重な祭祀の映像もありますが、このような海外旅行の映像が数多くあります。今年度はこのような県外、海外の映像もちょこちょこアップしていきたいと考えています。また同時に県外の旅行者が撮影した沖縄の映像もさがしていきたいと思っています。
このフィルムはもともと13分ほどのパリ旅行のフィルムです。本来なら全編アップするところですが、取込時の映像のガタツキが大きいため、現状では大変見づらく、今回はノートルダム寺院の映像だけをAfter Effectで強引にスタビライズしたものをアップすることしました。
今回のこのフィルムが、ノートルダム復活に役立つとは思いませんが、ネット上では気になる記事がありました。
アンドリュー・タロンという建築史家がこの5年ほどかけて、大聖堂の内部と外観をレーザースキャナーを用いてスキャンし、3Dの点群データに落とし込んでいたのだ。これによって、修復はより完全なものになるかもしれない。
(» 火災に遭ったノートルダム大聖堂の「未来」は、遺されたデジタルデータが握っている | WIRED)
復元には数十年かかると言う人もいる中、マクロン大統領は5年で復元と豪語しています。デジタルアーカイブに関わる人間として、デジタルスキャニングのデータがどのように利用されるのか気になります。
建築物のデータといえば、昨今のAR、VRの流行りで、グスクなどの歴史的建造物のデジタル化がもてはやされていますが、中山良彦さんがプロデュースした海洋博の沖縄館をはじめ、久茂地公民館(少年会館)などの戦後の名建築がスキャニングされていたらどんなに嬉しかったことかと考えてしまいます。那覇市民会館とか、牧志公設市場とか、これから消えていく建築物まで、その範囲を伸ばせていけないかと切に思います。コンクリート建築が沖縄の重要な造形物である割には、これまでクリエイティブ視点から保存が手薄だったような気がしている昨今でございます。
(文:真喜屋力)
Leave a Reply