【FILMS】若狭海岸と波上からの眺望

現在は埋立てられた若狭海岸の映像です。

No. 2345-09
タイトル:若狭海岸と波上からの眺望
撮影者:今村昌耕(Syoukou Imamura)

撮影メディア : 8mm Film/Color/16fps
本編時間: 1m23s
撮影時期 : 1962年春
主なロケ地 : 若狭海岸、波上 (沖縄県那覇市若狭)
スキャン: Frame by Frame

若狭海岸

那覇市の若狭海岸。戦前は浅瀬が広がる豊な海岸でしたが、戦後は泊港の整備も含めて、大規模な埋立てが行われます。その際に若狭三丁目、前島三丁目が誕生し、住宅地が造成されていきます。

埋立てにはユーチノサチと呼ばれる岩山が崩されて使われたそうです。ユーチノサチは現在の若狭小学校付近にあった岩山で、波上(ナンミン)の岩山よりは少し小振りなサイズだったようです。

映像のファーストカットの右端には、堤防から少し突き出した岩が見えます。これはユーチノサチの先端部分だけが残されています。なぜこの部分だけ残したのかは詳細不明ですが、航海安全を祈願する拝所があったというのが大きかったのかもしれません。

今はこの海岸線も埋立てられて「若狭海浜公園」が造られていますが、ユーチノサチの岩と拝所は今も残っています。ただし海に面しているわけではなく、公園の中ほどにあり、周りが樹木で覆われたので、岩山と言うイメージは無くなりました。

▲右端に堤防と、突き出したユーチノサチが見える。

 

▲冒頭のパンショットのパノラマ(クリックで拡大)

海岸では大勢の人が潮干狩りを楽しんでいます。ひょっとしたらこれは旧暦の3月3日「はまうり」の日だったのかもしれません。

堤防の右側には、若狭小学校と若狭市営住宅が見えます。

波上からの眺望

高台から見下ろした那覇市内の映像がパンショットで映されます。このカットの最後に写る大きな建物は、久米にあった工務工通局の建物で、中には那覇中央郵便局、那覇中央電報局などがありました。復帰後もしばらくは那覇中央郵便局でしたが、現在は公園になっています。

» 行政/工務工通局 | 那覇市歴史博物館
» 那覇中央郵便局 | 那覇市歴史博物館

郵便局の建物の右側にある、屋根部分が特徴的な形の大きな建物は、西武門会館(にしんじょうかいかん)という映画館。ここは「ウルトラマンを作った男」と呼ばれる脚本家の金城哲夫が監督した『吉屋チルー物語』が上映された映画館でもあります。(同時上映は戦前のサイレント映画『執念の毒蛇』)

そして気になるのは郵便局の左上の遠方に見える建物。ぼんやりですが、ドーム状の屋根を持っているように見えます。ドーム状の屋根と言えば、国際通りにあった国映館(現 ホテルコレクティブの場所)です。

▲中央付近の大きな建物が郵便局。右の囲みが西武門会館。左の囲みに国映館のドーム屋根の様な建物が見える。

地図上で波上と国映館(青い★マーク)を赤い線で結んでみたところ、ちょうど郵便局(緑色の建物)の左をかすめるような視線が描かれました。方向的にも上の写真と重なるため、ほぼまちがいなく国映館だと思われます。

▲波上から郵便局をかすめた向こう側に国映館(★マーク)が位置している。

那覇市に大きなビルが建ち並ぶ前は、国映館はあちこちから見えていたようで、沖縄アーカイブ研究所の他のフィルムでも、遠方から見えているショットがあります。

» 【FILMS】泉崎から上之屋(1号線沿線) | 沖縄アーカイブ研究所

 

付録

西武門会館で『吉屋チルー物語』が上映された時の新聞広告。脚本にはなかった「製作 金城忠栄」が入っているのが印象的です。忠栄は哲夫の父で、実際に製作費を出した人物。あえて名前が掲げられているのは、彼のネームバリューも意識したのかもしれません。

また同時上映の『執念の毒蛇』はサイレント映画ですが、声の出演が複数名いることから、いわゆる活弁とはちょっと違う、生アフレコのようなことをしていたのではないでしょうか(もしくは録音か)。

▲西武門会館で上映された『吉屋チルー物語』の広告。

 

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