波上宮での結婚式の影像はいくつか存在するが、この影像は一味違う。何が違うかと言えば、シンプルに撮影技術がちょっと違う。それだけど新鮮な影像になっている。
No. 2189-01
タイトル:波上宮で結婚式
撮影者:牧志宗八郎(Souhachirou Makishi)撮影メディア : 8mm Film/Color/18fps
本編時間: 1m41s
撮影時期 : 1970年代
主なロケ地 : 波上宮 (沖縄県那覇市)
スキャン: Frame by Frame
この撮影者は、影像を水平に撮影している。当たり前のようだが、波上宮は岡上にあるため参道は階段になっている。たいていの撮影者は、階段の上に先回りして被写体を捕らえるため、見下ろした影像が多いのだ。対してこの撮影者は、広めの場所で被写体と同じ高さに立って水平にカメラを向ける。その結果背景の抜けがいいのだ。他の映像が階段や地面を多く捕らえているのに、このフィルムは背景の建物がしっかり映り込んでいて、情報量の多い物になっている。
冒頭の鳥居の下、階段の最下層の場面では、すぐ後ろに現在も残っている二階建ての瓦葺き木造建築の食堂が映り込んでいる。
その他の看板なども映り込んでいて、いろいろと見るべき場所が多い。
何よりも目線が同じなので、被写体の花嫁と付き人の晴れやかな表情が魅力的に見えている。
続く撮影ポイントは階段の中腹のフラットなスペース。ここでもカメラ目線の笑顔は素晴らしく、人々も魅力的に映っているし、遠くまで抜けた背景の映像は資料的な価値はもちろんだが、空まで映っているおかげで、すがすがしい空気が満ちている。
フィナーレの集合写真も安定した感じで、なかなか絵心のある撮影者のものであることが伝わってくる。何と言うことはないのだが、些細なことで映像のグレードが上がったような気がして興味深い。
(文:真喜屋力)
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