【レポート】記憶の散歩道 2020/11/21

那覇文化芸術劇場 なはーと 開館プレ事業 うむいのプロジェクト

『記憶の散歩道』

日時:2020年11月21日(土)開催
会場:緑ヶ丘公園 18:30~20:30
出演:馬頭琴かおり(馬頭琴演奏)
真喜屋力(解説)

2021年度にオープンする那覇文化芸術劇場の開館プレ事業「うむいのプロジェクト」に、沖縄アーカイブ研究所も参加いたしました。

以下、その模様の簡単な記録です。

場所は緑ヶ丘公園(沖縄県那覇市牧志)の緑地帯。木々に囲まれた空間に手作りスクリーンを立て、那覇市に縁のある8ミリフィルムの映像を無料上映。用意されたイスに座って鑑賞するもよし、遊歩道を歩きながら木立の間に流れるスクリーンに目をやるのもよし。ビルの谷間の公園に浮かんでは消える”街の記憶”を市民の皆さまに楽しんでいただきました。

またBGMは馬頭琴奏者のかおりさんが担当。スクリーンのすぐ横で奏でる馬頭琴の音色も街の音と混ざって、心地よい上映かとなりました。

これまで8ミリ映画の上映会では、解説者が映像の内容を説明したり、観客の声を拾ってコール&レスポンスのごとく、映像に関する思い出話などを拾い上げ、時には映像を止めたり戻したりしながら展開する双方向な上映会を行ってきました。今回の「記憶の散歩道」では趣向を変えて上映中には映像解説を入れず(上映の合間に少しばかり解説タイムを入れました)、映像は馬頭琴のBGMと街の喧騒とともに楽しんでもらうスタイルとしました。あわせて初の試みとして画面を3分割のマルチ画面にして、様々な記憶が交錯しながら進んでいく内容といたしました。

▲木立と街の建物似囲まれた会場(緑ヶ丘公園)

 

3面マルチの画面は、理想的には三台のプロジェクターを使うのですが、今回は1台のプロジェクターのみの使用で、予め編集した横並びの3画面を上映。当然ながらスクリーンの形も横長のものになります。大きなスクリーンを借りて上映することも考えましたが、スクリーンの上下に余りが出てしまうと損したような気分になるので、大きな布スクリーンを折り曲げて、竹を組んだ手作りスクリーン枠に固定するという荒技に挑戦。幅3m60cmほどのスクリーンで上映いたしました。

予め枠を支える柱の竹にはドリルで穴を空けてボルトを通し、現場での組立作業を簡便化したものの、後は現場でコツコツ縛り上げる方法。最初はどうなることかと思いましたが、次からはこれもワークショップとして観客とともに組み上げたりすると、上映会の達成感もあって良いのではないかと考えたりもしています。

▲リハーサル中の馬頭琴かおりさんと、竹で組んだスクリーン。

 

新聞での告知が効いていたようで、準備中に話しかけてくるかたもいたり、開演一時間前からやって来る方がいたり、出足は好調。座席は20脚ほどしか用意していなかったのですが、最初の上映時は立ち見の方も多く、数えると100人以上の人が集っていました。

上映の内容は1プログラムが30分。これを解説込みで3回上映と言うスタイルですが、3回とも見てくださるお客さんもいて、満足度は高かったように思います。手前ミソですが…。

ただこれは当日の気候の良さもありましたし、なんといっても馬頭琴の調べに救われたと思います。三線とかだと、ややイメージが固定されすぎるところもありますが、馬頭琴の異国情緒たっぷりの、それでいて懐かしい感じの音色は、上映会のイメージを膨らませてくれました。

準備や宣伝の遅れはありましたが、結果的には今後もアレンジを加えながら発展的に作り込んでいける内容になったと思います。

(文:真喜屋力)

▲竹で枠を作っているところ。スクリーンサイズ的には、あと一本柱を増やせたので残念。

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