日蓮正宗の総本山大石寺正本堂が完成したのは1972年。その2年前の上棟式に駆け付けた沖縄創価学会員の団体旅行の様子です。
No. 0517-00
タイトル:楽しい登山会 上棟式参加
撮影者:大城隆盛(Ryusei Oshiro)撮影メディア : 8mm Film/B&W
本編時間: 20m18s
撮影時期 : 1970年10月12日
主なロケ地 : 大石寺 (静岡県富士宮市)
スキャン方式 : Frame by Frame
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大石寺 正本堂(現 奉安堂)
映像の時代背景
創価学会はもともと日蓮正宗の中の研究会的な組織から始まり、布教団体として大きく成長しました。タイトルの「登山」とは、「総本山に登る」という意味で、日蓮正宗の言いまわしのようです。
つまり撮影当時は創価学会員であれば同時に日蓮正宗の信者でもあった訳ですが、1991年11月に日蓮正宗から創価学会は破門を言い渡され、別の宗教団体となっています。
つまりこの映像はまだ日蓮正宗と創価学会がうまくいっていた時代の映像であり、もう見ることがない光景と言えるのかも知れません。
この映像の主な舞台は富士宮にある日蓮正宗の総本山である大石寺。そこに作られた正本堂の上棟式の様子が記録されています。ウィキペディアによると、正本道の建築費は355億円ほどで、その中の350億円以上は創価学会の集めえた資金だったということです。それゆえにか、創価学会が日蓮正宗から破門を突きつけられたのちに正本堂は壊され、現在の奉安堂が作られたという経緯があります。
映像の内容
まず驚くのはプロの映画ようなタイトル。「たのしい登山会」と動画の上に文字が乗っている。おそらく多重露光で文字を白く抜いたのであろう。撮影者は小型映画友の会にも参加するような小型映画ファンなので、そう言った特別なスキルを持ち合わせていた。
また二枚目のテロップの背景には「波之上丸」という船名が見られる。おそらく大島運輸(現 マルエーフェリー)の船で、沖縄-奄美-東京の航路を運行していた。
現在もフェリー波之上という名前の船がある。世代交代で同名の船はいくつかある。有名なセウォル号は、この
波之上丸という船が登場する。おそらく大島運輸の船であろう。沖縄-奄美-鹿児島-東京を結ぶ定期航路を走っていた。船は何年かおきに新しくなるが、現在はマルエーフェリー(分離した会社)のフェリー波之上が那覇-鹿児島を就航している。
ちなみに韓国で沈没したセウォル号も、もとは引退したフェリー波之上の一つだった。
その後船はどこかの港から富士急行のバスに乗って静岡県に向かう。道路標識を見る限り、東から西へ向かっていると思われるので、鹿児島ではなく東京の港から上陸したと言うことだろう。ちなみに最後に変えるときも西から東へ向かっています。
昭和45年(1970年)10月12日、正本道上棟式と言う立て看板。そして次々と訪れる参加者たちの行列。宗教としての盛り上がりもさることながら、沖縄からの参加者もかなりの勢いを感じる映像が続きます。
残念ながら正本道があまりよくわからないということがあります。之は上棟式で、完成披露は二年後ですから致し方ないのかも知れませんね。
いろいろと細かいところが楽しめそうな映像ですが、検証作業はおいおいやって行きたいと思います。
その後の展開としては、上棟式を終えてかえっていく人々。途中、足柄休憩所で小休止。ここで気になったのはみんながアイスクリームらしきものを食べていること。もしかしたら沖縄にはないアイスクリームを味わっているかも知れませんね。子供たちの服装も可愛らしいです。
つづく海老名の休憩所で昼食を経て乗船。帰りの船の中での懇親会風の映像が続きます。若者はジュークボックスでダンスパーティーも。船旅ってのは、こういう余韻があっていいですね。
ちなみに登山会の映像は翌年の物もあり、そちらには姿を見せつつある本正殿が映っています。こうご期待。
(文:真喜屋力)
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