【FILMS】オバァのトゥシビー(胡蝶の舞)

「オバアのトゥシビー」とは「お婆ちゃんの生年祝い」。親戚の家に集まってみんなで祝い、様々な出し物に興じる様子。白装束の男の子の踊りが特に印象的です。

No. 0321-00
タイトル:オバァのトゥシビー(胡蝶の舞)
撮影者:城間正幸(Masayuki Shiroma)

撮影メディア : 8mm Film/Color
本編時間: 3m23s
撮影時期 : 1970年代
主なロケ地 : 自宅 (沖縄県)
スキャン方式 : Frame by Frame

 

男の子たちの踊りは、おそらく「胡蝶の舞」ではないかと思われます。

「胡蝶の舞」が有名なのは、南城市知念区知名の「ヌーバレーの胡蝶の舞」です。ヌーバレーとは旧盆で帰ってきたご先祖の霊を送り返した翌日に、無縁仏を送り返す祭だそうで、知念区の数ヶ所の集落で行われていますが、特に知名は盛大で、その中でも「胡蝶の舞」は独特の振り付けと衣装で人気の演目の様です。

» 旧盆が終わればヌーバレー | 沖縄B級ポータルDEE okinawa

フィルムの舞は、知名の「胡蝶の舞」に比べると、白一色で地味です。これは古い衣装なのか?それとも違う地域なのか?少々判然としませんが、袖の下のヒラヒラした羽を模した飾りは、確かに「胡蝶の舞」のそれだと思いますが、Youtubeで公開されている映像などと比較すると、かなり地味な振り付けになっています。しかし、所々のキメポーズは、よく似ていますね。これがまた時代の変化なのか、別の流派(地域性)なのか、気になるところです。

ただ、男の子たちの踊りを見る限り、お婆ちゃんのトゥシビーの演目を一夜漬けで覚えたような感じもあり、不ぞろいだけど一生懸命な感じが、良い味わいを出しています。

▲おそらく「胡蝶の舞」と思われる踊り。不ぞろい感がかわいい。


▲2012知念知名ヌーバレー 胡蝶の舞フルバージョン
Takashi Toujimori

踊りにばかり目が行きがちですが、周りを取り囲んだり、隣の部屋から襖を開けてのぞいていたり、大人たちが子供のがんばる姿を揃って見つめる姿に、親戚縁者の暖かいコミュニティーを感じます。映ってはいませんが、おそらくカメラの側にはお婆ちゃんがいるのでしょう、祖母から孫、ひ孫へと繋がる血縁という関係性が、家族の歴史としてフィルムに集約されていて、密度の高い映像だと思います。

後半、メインで映るのは、これまた親戚のおじさんが踊る見事な舞。背広にハチマキというアンバランスさ、一見コミカルだけど、手慣れた滑らかな踊り。場を盛り上げるこういう人が、親戚スジには一人はいるもんですね。ある意味、前半の「胡蝶の舞」を食ってしまうくらいのスマートなかっこよさを感じます。

(文:真喜屋力)

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