沖繩リゾートステーション。通称「列車ホテル」と言えば、思い出してそわそわする人がいるかもしれない。沖縄県北部の今帰仁村にあった宿泊施設のことだ。海洋博を目前に控えた1975年6月にオープンしたホテルで、本物の寝台車車両に泊まれると言うことで評判を集めました。
No. 0606-01
タイトル：沖縄リゾートステーション
撮影者：石川友吉（Tomokichi Ishikawa）撮影メディア : 8mm Film／Color
本編時間： 1m24s
撮影時期 : 1970年代中ごろ
主なロケ地 : 沖縄リゾートステーション (沖縄県今帰仁村)
スキャン方式 : Frame by Frame
沖縄リゾートステーションに関する情報は意外に少なく、ネット上では以下のブログのレポートからいろいろわかります。
上記のリンク先のブログで、最も重要な情報は、跡地に残された看板の写真です。看板の文字に書き起こしたものが以下の文章です。
C57 87 蒸気機関車
C57 87形は、昭和12年（1937）から製造か開始され、昭和22年（1947）までの間に201輛が製造された。
日本の蒸気機関車の中で最もスタイルが良くその姿の美しさから「貴婦人」とか「女王」とかよばれている。この蒸気機関車は昭和50年（1975）北海道を最後に現役を引退したあと今帰仁村にやってきた。
昭和50年6月（1975）に列車ホテルとしてオープンした（国内最大の16輛）。鉄道のない沖縄では、児童、生徒に教材として人気を博したが、買いようは供御の宿泊客利用者が激減し昭和58年8月（1983）顕官公開発公社から今帰仁村へ譲渡。機関車は腐食が著しく平成3年（1991）ふるさと創生資金から1□3百万円の予算をかけ全面改装した。
1991年12月 今帰仁村教育委員会
※ □は判読不明文字。
文章からして、列車ホテルが閉じ、野ざらしになった機関車を修理したのが1991年。それからしばらくは公園内に機関車のみが展示されていたことがわかります。現在、この場所は今帰仁村総合運動公園となっており、列車ホテルの痕跡は残っていないようです。
撮影の時期について
撮影者によると、撮影時期は1980年ごろ。映像の冒頭に、いきなり水槽の魚たちが映りますが、これは海洋博記念公園の水族館の映像です。海洋博覧会はすでに終了していますが、記念公園として水族館などは運営を続けていました。どうやら撮影者の家族が海洋博記念公園に一拍旅行した時の映像ということです。
寝台車とコテージタイプの宿泊施設
看板の文字にある通り「列車ホテル」の売りは当時国内最大級の16両編成の寝台車輛。最大級と言うのは寝台車を利用した宿泊施設は複数あり、ここだけの特別なものではありませんでした。
しかし、最初に映し出される扉は寝台車ではありません。実は沖縄リゾートステーションにはコテージタイプの施設もあり、撮影者たちの家族はそちらの部屋に泊まっていたようです。扉にある「１５８」と言う数字はルームナンバーでしょう。余談ですが、筆者は子供のころに、このコテージに家族で宿泊したのでまちがいありません。
寝台車両は当然ながら狭くて、住み心地だけならコテージのの方が快適でした。しかし、人に聞いてみると、寝台車は修学旅行などで使われたケースもあったようです。大勢の友達といっしょなら、テンションが上がったことでしょう。また鉄道のない沖縄では、教育的な意義も大きかったと思われます。
列車ホテルとプラットホーム
つづいて事務所棟らしき建物が写り、その横に美しい蒸気機関車C57 87の姿が映ります。そしてその背後には青い車体の寝台車両と、本物さながらのプラットホームが映し出されます。ただし、もう少しポスター、看板など作り込んでも良かったんじゃないのかと言うくらい殺風景ではありますが。
青い車体がずいぶんと風雨、塩害、さらには強烈な日差しで痛んでいます。ホテルのオープンが海洋博と同じ1975年ですから、老朽化がめだちます。海洋博のあと、観光客が激減して廃業するホテルがずいぶんありました。そういう意味では列車ホテルは思ったより長く営業していたのかも知れません。
もし今も残っていたら、映画のロケ地とかに使われるなど重宝したと思うのですが、ちょっと残念です。
（文：真喜屋力）
PS
公園時代の車両の画像が以下のリンク先にありました。かなり寂しい感じです。
C57 87で検索すると、いくつかヒットします。
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