【FILMS】糸満ハーレー1969

沖縄の梅雨明けを告げる祭祀といえば”糸満ハーレー”。映像はフィルムの箱書きから”1969年”の撮影であることがわっている。当時の糸満漁港の姿もあわせて楽しめる映像です。

No. 0102-02
タイトル:糸満ハーレー1969
提供者:玉寄英一(Eiichi Tamayose)

撮影メディア : 8mm Film/Color
本編時間: 2m18s
撮影時期 : 1969年6月18日
主なロケ地 : 糸満漁港 (沖縄県糸満市糸満)
スキャン方式 : Aerial Image
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糸満漁港

 

» 糸満ハーレー | Wikipedia

揃いの麦わら帽子

▲おそろいの麦わら帽子出応援する観衆。

いきなり話がそれるが、勇壮なハーレーを応援する根狂的な観衆が映る。おもしろいのは被っている麦わら帽子がおそろいだと言うことだ。どれも新品なのか強烈な日差しを浴びて輝いている。同じ売店で購入したのかだろうか?などと思いを巡らしてしまう。余談ではあるが1960年に沖縄初のプロ野球公式戦が行われた時の新聞に、観客収入はそれほどだが、帽子の売り子がやたらと儲けていたという新聞記事があった。ひょっとしたら、この帽子もイベント会場で売っていたのかも知れない。

糸満上映での話

▲中央で立って旗を振る人。

映像に関連するご当地では、様々な情報が採録できる。糸満市立中央図書館で行った”図書館ツアー”では、この作品も多いに盛り上がった。中でも地元らしい感想の一つが、ハーレー舟の中央で旗を振っている黒装束の男性についてだった。観客の一人は、この男性が立ち上がって旗を振っているのを見て「最近は立ち上がって旗を振るのは珍しい。この頃はしっかり立っている」と思い出話を語ってくれた。とは言え、最近は座って旗を振っているのかどうか、僕自身が確認していないのでうかつに比較できないのだが…。是非、ハーレーを見物に行く人はそこら辺も注目して見ていただきたい。

指のない三線奏者

映像を見た観客から出てきたエピソードで最も興味を引かれた話。チラリと写る漁船の一つが、踊りのステージとなっている。そこで三線を演奏している人が、地元では有名な指のない「三線奏者」だと言う。指がないので爪を手に固定して三線を弾くらしい。残念ながら映像では詳細はわからないのだが、8ミリ映像をきっかけにして語り継ぐべき地域のヒーロー物語が収集できたのは興味深い。果たしてどのようなミュージシャンだったのか。それだけでドキュメンタリー企画が作れそうなエピソードだ。

漁船の記号について

あと漁船の船隊に描かれた船籍ナンバーにご注目いただきたい。「IT-○○○」と言う風に、頭に「IT」という文字が付いている。これは糸満漁港に登録されている船ということだと思われるが、こういった船籍ナンバーは、沖縄が日本に復帰する前のナンバーで、1972年の日本復帰後は沖縄の漁船は「ON-○○○○」と振り直されている。古い映像の時代を特定するポイントの一つとして知っていて損はない情報だ。

時代を象徴するアトラクション

▲糸満漁港内を疾走する水上スキー。

この映像で最も驚くのは最後の部分。なんと糸満漁港で水上スキーのアトラクションが披露されている。ハーレーという祭祀とのミスマッチ感が興味深い。復帰前でアメリカ世だったと言うこともあるかも知れないが、確かに1970年ごろというのは水上スキーは華やかなショーとして人気があったのを思い出す。1975年の海洋博でも披露されていたし。

(文:真喜屋力)

 

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