“730(ナナサンマル)”の前後の記録というのは、アマチュアカメラマンなら撮らずにはいられない歴史的なイベントでした。しかし、さらに「1年後」を意識して730のその後を撮影した人もいました。
No. 0931-00
タイトル:730 あれから一年
撮影者:外間宏三(Kouzou Hokama)撮影メディア : 8mm Film/Color
本編時間: 5m13s
撮影時期 : 1979年
主なロケ地 : 安里三差路ほか (沖縄県那覇市安里)
スキャン方式 : Frame by Frame
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主なロケ地表示(Google Map表示)
安里三差路付近の商店
冒頭に映し出されるのは、安里三差路から、店舗が移転することを知らせる貼紙。
730以前、つまり右側通行時代、ここは那覇の中心部から中部、北部方面に帰って行くバス停があり、バス街の人々でにぎわい、いくつも商店が並ぶ繁華街でした。
しかし「あれから一年….」というタイトルが出た後に映し出されるのは、まるでゴーストタウンの様な空き店舗の数々。交通量自体は変化がないはずなのですが、右側通行から左側通行に変わったことで、バス停で待つ客が、すべて道向こうの歩道に行ってしまったため、経営が成り立たなくなったとわけです。
ここでポイントになるのが、比嘉商店という雑貨店です。自動販売機以外は、なんの気配もなくなってしまったシャッター店舗として映し出されています。
1分28秒辺りから、突然テレビ画面を撮影した映像が映ります。音声は収録できていませんが、どうやら730のその後を取材したニュース映像です。その中で登場する雑貨屋が、実はこの比嘉商店。まだ営業をしていたころの様子です。
あと沖縄アーカイブ研究所の別のフィルムで「沖縄カブスカウト4隊 インブビーチにて」には、1963年(730の15年前)の同バス停の様子が映っていて、ちらりと比嘉洋菓子店という看板が写るのですが、ひょっとしたら同じ店の可能性もありますね。
そして最後に映し出されるのは、撮影者である外間宏三さんの文章。外間さんは琉球大学の教授で、このバス停は通勤ルートでもありました。見慣れた通りの変化が、気になっていたのでしょう。または、大学教授らしい、ジャーナリスティックな視点がユニークです。
オマケ:あと『銀河鉄道999』の映画ポスターが貼られているのが見られます。これは安里三差路にあった琉映本館です。もちろん、こちらも今はなくなり、マンションが建てられています。
(文:真喜屋力)
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