発見! 1965年ごろのジュリ馬行列 16mm映像

1965年ごろの那覇市辻のジュリ馬を撮影した16mmモノクロフィルムが発見され、冒頭部分のみデジタル化を行いました。全体では8分ほどのフィルムですが、残念ながらその全貌を見ることはまだできません。

16mmフィルムのデジタル化は、自前ではできないのでお金がかかるのです。これからお金も集めねばなりませんが、その前に現状報告をさせていただき、貴重な資料についての情報を共有したいと思います。

まず復元した冒頭から1分20秒ほどの映像が、この下の動画です。株式会社東京光音の御協力で作成いたしました。

元がネガフィルムなので、大変明瞭な画質です。撮影もプロのカメラマンらしく、しっかりとした構図で狙いが定まっている。当時のジュリ馬、旧二十日まつりのようすが臨場感を持って伝わります。

私たちの手元にあるジュリ馬映像の8ミリは1970年で、このモノクロフィルムの最短でも5年後の映像です。おもしろいのはモノクロフィルムで、ミルクの前でドラを叩いている女性が、1970年の映像ではミルクの横に立っているということでしょうか。時の流れを感じます。

未デジタル化の映像部分

気になる未デジタル化の残り5分ちょっとの映像はどのようなものでしょうか?

幸い何が映っているのかを目で見られるのがフィルムの良いところ。ライトテーブルとルーペを使って映像をコマ撮りしたのが下の映像です。かなり画質が落ちていますが、正式にデジタル化できれば、高解像で動く様子が見ることができます。

▲ジュリ馬以外の踊りもあります。
▲男性も踊ります。町をあげてのお祭り。
▲観光バスの窓から眺める観光客たち。
▲外人にも大人気のようす。
▲トラックの荷台にはキャバレーのバンド。
▲バンドの背後には洋装の美女たちが並ぶ。
▲静かだが熱い視線で祭の進行を見守る。背後の景色も往時を偲ばせる。

フィルムの権利は?

フィルムは一般の家庭に眠っていました。提供者は昔から辻にお住まいの方で、お父さんが撮影した8ミリフィルムとともに、この16ミリフィルムを保存していました。フィルムは地元放送局の琉球放送の封筒に入っていたことから、もともとテレビのニュース映像として撮影され、廃棄に伴って寄贈されたのではないかと思われます。映像には幼少のころの提供者自身が映っていて、その状況から1965年ごろだロト年代が推測されています。そのような関連もあって、父親にフィルムが譲渡されたのでしょう。

とはいえ、フィルムそのものには何も書かれていないため、実際の権利者はわかりません。提供者の父親はすでに故人であることから、詳細もわからず、いわゆる権利者不明の孤児作品の状態であることはまちがいいありません。権利処理の観点から言えば、著作権者に無断でデジタル化はできないのですが、撮影者が名乗り出ることもないと思われることや、また貴重な資料でもあること、フィルムの劣化が進行していることを考慮して、デジタル化していくことに決めました。
一応テレビ局にも意見は聞いたのですが、一旦は廃棄したフィルムでもあるので、こちらにハンドリングは任せてもらうと言うほうこうで、話を進めています。

▲民間から出てきた16mmモノクロネガフィルムと、それが入っていた封筒。

このフィルムの特徴

デジタル化を急ぐポイントは以下の通り


1)辻の街の繁栄の記録

この映像が撮影された1965年ごろは、辻の街は料亭と米軍基地のもたらす好景気で、非常に賑わっていました。そこで披露されるジュリ馬は、もともと踊り単体で存在するものではなく、辻の町の歴史と、舞台としての旧二十日正月の町の祝祭がセットになったものです。そしてこの映像には後者の町の祝祭が記録されています。例えば、上記の写真にあるような町民の踊りや、キャバレーのトラックなど、辻の町のありようを見せてくれます。生と俗が入り交じった躍動感といえるでしょう。また歴史を背負ったような古老たち誇らしげな姿も圧倒的な存在感を見せます。

2)街並みの記録

料亭松の下の入口付近の姿や、辻にあった公設市場(階上は市営住宅)、さらに大きな建物が少ない開発途上の辻町の風景は、辻町だけでなく、那覇市レベルの戦後復興の記録として、往時を今に伝えてくれます。日本では正式には認められていませんが、フェアユースという観点からも、早急なデジタル化を行い、市民が利用可能なえいぞうとして公開したいと思います。

3)16ミリモノクロネガフィルム

僕らの収集するフィルムは8ミリですが、これは解像度が高い16ミリ。なおかつネガフィルム。つまりマスター原版であり、デジタル化した時に最も状態で取りこめる素材と言うことです。フィルムの状態は、全体的にねじれや歪みが生じてきています。一部張り付いた部分もありますが、コンピュータ処理も含めて補修すれば、かなりの高画質での修復が可能なレベル。これ以上に劣化する前にデジタル化が望ましいところです。


今後の課題

なんと言っても、デジタル化の経費をどうするかです。できることなら関係団体を中心に、複数カ所からの協力を仰ぐ形で、権利が一カ所に集中しないようにデジタル化したいと思います。最終的には公のアーカイブが、フィルムも含め、保存、公開を行っていくことが必要でしょう。辻はもちろん、那覇市、沖縄県の財産となる方向で、皆様の御協力を仰いでいきたいと思います。

(文:真喜屋力)

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