1978年の道路交通法の改正、通称730(ナナサンマル)を8ミリフィルムで取材した記録。撮影者は琉球大学の化学の教授だった外間宏三さん。
No. 0957-00
タイトル:ナナサンマル 裏方さん
撮影者:外間宏三(Kouzou Hokama)撮影メディア : 8mm Film/Color
本編時間: 25m5s
撮影時期 : 1978年
主なロケ地 : 沖縄県泊高橋など (沖縄県)
スキャン方式 : Frame by Frame
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主なロケ地表示(Google Map表示)
泊高橋 / 首里崎山町 / 免許センター跡(西町)
730関連の8ミリ映画というのは、たいていが近所の道路の変化を、思い入れタップリに記録したもので、メモリアル(記念)として撮影されています。しかしこのフィルムは、きちんとタイトルが付けられているように、記録(ドキュメンタリー)としてまとめられています。
なにしろ、この25分のフィルムには、以下の要素が映っています。
- 730のポスター集
- 交通法切替えの瞬間
- 信号機、交通標識の設置
- 前照灯の付替え
- 旧型バスの解体
- 新型バス公道試運転
- パトカーの練習風景
- 応援パトカー陸揚げ
- 仲田幸子主演のCM
実はこれ以外にも外間宏三さんの”730関連映像”は数本あり、違うテーマの映像も存在しています。それらも今後紹介していきますのでお楽しみに。
中でも本フィルムで一番大きく取材されているのが、前照灯の取換え工事。
前照灯は真っすぐ前を照らすと対向車がまぶしくなるため、光軸をすこし道路の脇に反らしている。右側通行から左側通行に変更するに辺り、この光軸も反対に向ける必要があり、ランプごと交換しなくてはいけなかった。もちろん全車両が対象。たいへんな数だ。
このフィルムを先日行われた上映会でお披露目した才に、観客から「経費は誰が出したのか?」という問いかけが飛び出しました。誰も決定的な返答ができなかったのですが、みんなで映像を観ていると、「無料付替実施中」の看板が多数映り、経費は補助が出ていたようだと言うことが判明した。こういう細かいポイントは、一人で映像を見ていても気にしなかったりするが、上映会をすることで観客とともに情報の共有が出来るのがおもしろい。
また同上映会では、「ヘッドランプを左側通行用に取替えても、730までは右側通行である。変更までの間はまぶしいのではないか?」という疑問が噴出。そこで観客として参加していただいた、赤瓦ちょーびんさんから、「変更までの間は、前照灯の一部にテープが貼られ、光が対向車に直撃しないようになっていたはず!」という思い出話が飛び出し、皆で注意して見ていると、確かに前照灯には銀色のテープが貼られているのが映っていた。
730実施に向けて、いかに細かい配慮が行われていたかという事例であると同時に、それを緻密に記録しようとした撮影者の執念が伝わってくる瞬間でもあった。
後からまとめ情報としてこのような話を聞くのも良いが、上映会場において、”疑問→思い出話→確認・発見”という流れが眼前で行われるのはスリリング。ぜひ多くの人に、上映会を体験、参加していただきたいと思います。
つづいて映像は右側通行ようの前照灯が廃棄される様子を記録している。おそらく処分場であろう、そこに山積みとなった前照灯を、ブルトーザーが踏みつぶす。そんな雑な!とか思いますが、こんなとこまで8ミリカメラを持って追っ掛けた撮影者も凄いなと思いますね。
続いて公共交通機関である路線バスの公道での試運転の様子が映ります。場所は那覇市首里の崎山にあるヘアピンカーブ(瑞泉酒造近く)。狭い上に傾斜もある、長くて内輪差の大きなバスにはけっこうな難所です。そういうわけで事前のチェックは行われていたわけです。
ここでポイントは、右側通行時の車はすべて外車と同じ左ハンドルから、国産車仕様の右ハンドルへと切り替えられます。特にバスは乗車口が逆側になるため、車両の切替えは730の始発から切り替わります。実は、あまり事前に練習をすると変なクセがつくため、730前に事故を起こす危険があると言うことで、運転手の皆さんは、ほぼぶっつけ本番で、この変更に対応したようです。こういう試運転による情報収集が、いかに重要だったかがわかるエピソードですね。
その後、船でバスや、応援のパトカー(警視庁)が港で陸揚げされる映像があります。そこまでは新聞などにニュースが出ると思うのですが、続けて沖縄県警のパトカーが、運転免許試験場(西町三丁目)で練習している様子が映しだされるなど。本当にどこまでもキメ細かい取材が続きます。
最後に映し出されるのはテレビコマーシャルの画面撮りの映像。沖縄県民なら誰もが知っている喜劇の女王”仲田幸子”さんが主演の730キャンペーンCM。音がないのが本当に残念。どこかで眠っているVTRがあるなら探しだして欲しいですね。
(文:真喜屋力)
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