【FILMS】那覇パノラマと選挙ポスター

1分ほどのフィルムに三つのパンショット(横にカメラを振って風景を撮影)。特に3カット目は時代を映し出す興味深い記録でもあります。

No. 0949-03
タイトル:那覇パノラマと選挙ポスター
撮影者:外間宏三(Kouzou Hokama)

撮影メディア : 8mm Film/Color
本編時間: 1m51s
撮影時期 : 1976年〜77年
主なロケ地 : 琉球大学,泊高橋,泊小学校 (沖繩県那覇市)
スキャン方式 : Frame by Frame
*********************************
主なロケ地表示(Google Map表示)
琉球大学首里キャンパス泊高橋那覇市立泊小学校

 

一つ目のパノラマ(理系ビルからの那覇)

▲画像1:琉球大学理系ビルからの那覇市を、パノラマ化してGoogleマップと比較。(クリックで拡大)

 

首里から識名、繁多川方面を見た映像です。フィルムの箱には「理系ビルからの那覇」と書かれていることから、現在の首里城にあった理系の校舎から撮影されたものと思われます。

貼り合わせてパノラマ化した画像とGoogleマップの画像を比較したのが上の画像1。

カットの頭に高台に登る道が見えますが、これは首里から金城町の石畳を降りていったところから川を越えて再び登る坂道で、王様の庭園である識名園に続く坂道です。

その道の右側には畑のような緑地が見えますが、現在は松城中学校のグラウンドがよく見えます。松城中学校は1983年に開校した学校で、ウィキペディアによると有名な卒業生はガレッジセールのゴリさん。女優の山田優さんだそうです。

» 那覇市立松城中学校  | ウィキペディア

大きな変化として左側の畑のような所にグラウンドが見えます。これは那覇市立松城中学校。1983年の開校ですから、8ミリ撮影時には何も見ることができません。

また坂上に大きな建物が見えますが、これは繁多川ハイツで、石田中学校の向かいに立っています。

その後、那覇の町を一望し、海の向こうに慶良間諸島が見えます。カットの最後の辺りには都ホテル(現 ノボテル沖縄)が映っていますので探してみてください。

二つ目のパノラマ(泊高橋より58号線)

▲画像2:泊高橋から見た国道58号線(クリックで拡大)

 

続いてのパノラマは泊高橋交差点の歩道橋からのパンショット。交差点右側に面している垂れ幕のあるビルは、日本共産党沖縄県委員会のビル。この建築が目立つのであまり印象が変わっていない気もしますが、これ以外はかなり立て替えが進んでいます。ちなみに日本共産党ビルの右側にある建物(歩道橋とくっついて見える)のが、後の沖縄アクターズスクールになり、安室奈美恵をはじめ多くのタレントが巣立っていきました。今も建物は残っています。沖縄アクターズスクールが開校するのは1983年です。

 

三つ目のパノラマ(市会議員選挙当日、泊小前)

 

▲画像3:繋いでパノラマ写真にした画像(クリックで拡大)

 

三つのパノラマでもっとも衝撃的な画像は、この三っつ目のものでしょう。箱書きには「市会議員選挙当日、泊小学校(1977?)」と書かれていました。

おそらく選挙の投票会場だったのでしょう。最後の最後のお願いに、インパクトを付けようと貼りきっているのが伝わります。それとも投票期間中で余ったポスターを有効利用したかったのか?

今でこそ無節操と言う感じですが、当時はこれが当たり前の選挙のスタイルだったのかも知れません。

とにかく、看板はもちろんのこと、4っつの面を繋げて柱のようにしたり、門の上に綱を張ってアーチ状にしてみたり。涙ぐましいまでの努力を感じます。

(文:真喜屋力)

▲アーチのように掲げられたポスターも。

2 Comments

  1. 数年前、発行元はナショナルジオグラフィック誌だったか、1950年前半の沖縄のあちこちの風土をもカラーで記録した特集紀行雑誌(ムック本?形状は忘れました、すみません)を目にし、果てしなく強烈なインパクトを受けてしまいました。それは、取材時期がちょうど何やら選挙運動期間だったので店のガラス窓や壁を始めとしたあちこちに、候補者の名字だけを記した定形封筒サイズの(ポスターというよりは)ビラを半端なく沢山貼って目を引かせる手法。
    綺麗なカラー画像ゆえ現在の公職選挙法に慣れた眼と心で接すると「本当にこれ、大丈夫なんですか?!」級でして、それに比べれば「現在様式ポスターをフリーダムに貼り、お願いを展開する」このパノラマは幾分まともに見えます(あくまでも自分比)。

  2. 十数年前、発行元はナショナルジオグラフィック誌だったか、1950年前半の沖縄のあちこちの風土をもカラーで記録した特集紀行雑誌(ムック本?形状は忘れました、すみません)を目にし、果てしなく強烈な、それこそトラウマ級の衝撃を受けてしまいました。それは、取材時期がちょうど何やら選挙運動期間だったので店のガラス窓や壁を始めとしたあちこちに、候補者の名字だけを記した定形封筒サイズの(ポスターというよりは)ビラを半端なく沢山貼って目を引かせる手法。
    綺麗なカラー画像ゆえ現在の公職選挙法に慣れた眼と心で接すると「本当にこれ、大丈夫なんですか?!」級でして、それに比べれば「ほぼ現在様式なポスターをフリーダムに貼り、お願いを展開する」このパノラマは幾分まともに見えます(あくまでも自分比)。

まるわ(自前IT環境が持てないので、メアドは契約保持専) へ返信する コメントをキャンセル

Your email address will not be published.


*