5月24日から、沖縄の8ミリ映画をもっての関西ツアーがスタートします。
沖縄アーカイブ研究所が現在までに収集してデジタル化した8ミリ映画は112時間を超えました。そのうちで沖縄県外の地域映像は14時間ほどあり、今回はその中からも京都,大阪などの映像も上映予定。
ということで、見どころをいくつかご紹介します。
「小型映画友の会 沖縄大撮影会」(1970)
8ミリ映画が小型映画と呼ばれていた時代。いわゆる自主映画(ドラマ)ではなく、写真の愛好家のように風景やイベントを撮る小型映画の愛好家のサークルがありました。仲間と旅行などをして撮影会や、上映会をおこなっていったりするわけですが、その「小型映画友の会 全国大会沖縄撮影会」の様子を記録した映像。参加者の姿も映っているので,どのような人々が参加していたのかなども知ることができ、”小型映画”という文化の記録にもなっています。撮影はバスで移動しながら、名所,旧跡を周り、そこで琉球舞踊の演舞と識者に寄る解説まで用意するなど贅沢なもので、城壁のまえでの舞踊など、手の込んだ絵作りになっています。
「日本復帰記念 那覇市民会館前ロビー」他(1972)
沖縄が日本に復帰した1972年5月15日。「あの日は土砂降りで…」という声を良く聞きますが、なぜか記録映像として流れるのは屋内で行われている式典の映像ばかり。しかし一市民が撮影した映像は、式典会場の外を巧みに記録していました。予想を超える大雨だけでなく、機動隊とデモ隊、そして市民会館から出て帰りの車を待つ著名政治家の姿など、まさにアマチュアだからこそ撮影できた沖縄戦後史。
「古宇利島のウンジャミ」(1974年ごろ)
撮影者は中山良彦氏は沖縄海洋博で沖縄館のプロデュースや、ひめゆり平和祈念資料館の建設に携わった著名な文化人。映像はおそらく海洋博に関する取材で撮ったもの。歴史家の高良倉吉氏もチラリと映っています。10分程の映像に、この古い祭祀全体の要素がきちんと入れ込まれており、さすがの仕事っぷりを感じさせます。ウンジャミは非常に古い海神祭の形ですが、一昨年沖縄県立博物館で展示された映像では2000年代のものしかなく、貴重な記録といえるでしょう。
「琉米親善 コザまつり仮装パレード」(1964、1965)
かつて基地の街として栄え、米国文化を吸収しつつ独自の文化を作ったコザ(現沖縄市)で行われた仮装パレード。米軍の宿敵ヒトラーから鉄腕アトムまで、奇想天外な出し物が世相を映し出します。もちろん英語の看板だらけの基地の街の風景も。また高嶺剛監督の映画「ウンタマギルー」などでも知られる、沖縄のコメディアン、照屋林助もひねりの聞いた皮肉を混ぜた姿で登場します。
「ジュリ馬」(1965年/16mm)
遊廓のあった辻町の祭、ジュリ馬のパレードは1970年の8ミリがありましたが、あらたに1965年の映像が発見されました。しかもテレビ局が撮影した16mmネガ。当時はテレビ局にはアーカイブと言う発想がなく、放送後に廃棄処分になったフィルムを、関係者に寄贈したものが偶然見つかったものです。16mmの鮮明な映像とジュリ馬という祭の数奇なドラマの解説も込みでお送りいたします。
市井の人々のドラマをトランペットの生演奏とともに
上映に際しては、映像解説は沖縄アーカイブ研究所の真喜屋力がおこないますが、今回はその妻で絵描き&トランペット奏者のまきやしほが同行。いくつかの映像集に生演奏をつけてお送りすると言う初の試みもあり。
「京都 祇園祭」「大阪万博」「枚方パーク」など
今回の上映では沖縄以外の映像もあります。70年代の京都市内を撮影した。それぞれの地域のみなさんにも懐かしんでいただけることはもちろんですが、やはりこの機会に沖縄のアーカイブの資料を、より多く、そして広い地域の人々に知っていただき、利活用につながていけば嬉しいです。またフィルムに映っている内容に関する情報も収集できればと思っています。
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