沖縄県大宜味村の塩屋ではウンガミという祭祀が、旧盆明けの最初の亥の年に行われてきました。1977年には、国の重要無形民俗文化財にも指定されており、沖縄本島では最も古い形を残し祭祀とも言われている。
名護で写真館を経営されていた屋冨祖さんは、何年にもわたって塩屋のウンガミを撮影し『観光沖縄』という四っつの祭りから構成された記録短辺を編集し完成させました。
このページの映像はその『観光沖縄』から抜き出した『塩屋のウンガミ』と、おそらくその編集から外された映像をまとめたアウトテークをまとめた二本です。
No. 0274-04
タイトル:塩屋のウンガミ(『観光沖縄』より)
撮影者:屋冨祖正弘(Masahiro Yafuso)撮影メディア : 8mm Film/Color
本編時間: 10m13s
撮影時期 : 1970年ごろ
主なロケ地 : 屋古アシャギ (沖縄県大宜味村塩屋)
スキャン方式 : Aerial Image
No. 0275-05
タイトル:塩屋のウンガミ
撮影者:屋冨祖正弘(Masahiro Yafuso)撮影メディア : 8mm Film/Color
本編時間: 8m57s
撮影時期 : 1970年ごろ
主なロケ地 : 屋古アシャギ (沖縄県大宜味村塩屋)
スキャン方式 : Aerial Image
ファイルNO.0274-04の冒頭に映るのは、ハミヌマー(竜宮神)での祈りの様子。すでに民族学関係の研究者らしき人物が祝詞を録音している様子なども映っている。
つづいて映し出される家屋は”屋古アサギ”。ウンガミは他の祭祀同様に、集落のあちこちでしきたりに添った祈りがおこなわれるが、この屋古アサギが、最大のイベントのばしょである。アサギの前庭には、村人たちが藁であんだ”クムー”が日よけとして張り巡らされ、足下には芭蕉の葉などが敷き詰められている。
アサギには祭祀を司る女たちがひかえているが、白装束をまとう瞬間に、場の空気が引き締まっていく。
色鮮やかな衣装をまとった”アシビガミ”と呼ばれる女たちが、弓を持って前庭の真ん中に立つ柱の周りを回る。アシビガミは「オンコイ、ヨンコイ…」という掛け声にあわせるように回っている。8ミリの映像では、このとき団扇を持った女性たちが話の中心でアシビガミに風を送っているのが興味深い。最近の映像を見ると、アシビガミの人数も少なく、この団扇の係の姿も見れなかったりするのだ。
その後、集まったカミンチュたちはそれぞれの集落のハーリー舟に乗り、塩屋のシナバといわれる海岸へ向けて競漕を行う。シナバでは各集落の女たちが海に浸かって応援をしている。
写真館を経営するプロカメラマンの撮影だけあって、貴重な祭祀の記録として残すことができる映像と言えるだろう。
(文:真喜屋力)
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