【コラム】うみそら上映会 宮城潤

2017年から夏の期間だけ月一回開催している『うみそら上映会 in 若狭海浜公園』(以下、うみそら上映会)。一人の青年の声から始まったこのイベントは、少しずつ協力者の輪が広がり、今では夏の風物詩としてだんだん定着してきた。青年は幼かった頃に体験した野外上映会のワクワクする感覚が忘れられず、父親になった今、その感覚を子どもたちにも味わってもらいたいと思うようになったそうだ。青年からの相談を受け、楽しんでくれそうな人に声をかけ実行委員会を立ち上げ取り組んでいる。

1時間程度の上映会で上映する作品は3つ。沖縄を舞台にした短編映画と映写機を使った16ミリフィルムのアニメーション、そして最も人気なのがシネマ沖縄に提供していただいている『懐かしの地域映像』だ。「天妃小第1回運動会」(1966年)を上映した際は、異様な盛り上がりを見せた。その場は、運動会に参加していた当時の小学生たちが集いプチ同窓会のようになり、50年以上前の映像を食い入るようにみつめ、歓声をあげ喜んでいた。また、「旗頭制作と若狭大通りでの大綱挽」(1961年)を上映した際も盛況だった。戦後、那覇大綱挽が復活した1971年より10年も前に、那覇市が主催ではない那覇大綱挽が若狭大通りで開催されていた。その貴重な映像は、旗頭の関係者をはじめ多くの人が関心を寄せた。上映後、通り沿いの3階建ての建物から当時の大綱挽きを見学したという方が名乗り出て、その時の様子を語ってくれた。さらに話を聞くと、その方はうみそら上映会を提案した青年の父親だった。

個人的な記録として撮られた映像が地域の様々な記憶を呼び起こす。8mmフィルムで撮影された古くて新しい映像を、子どもから高齢者まで地域の幅広い世代が共にみて感動を共有する。記録と記憶が交差し、また新鮮な記憶としてみる人の心に刻まれていく。このような体験をした子どもたちが大人になったとき、どのようにこの思い出を振り返るのか楽しみだ。うみそら上映会を通して、世代を超えて繋がることのできる映像の力をあらためて感じている。

宮城 潤(若狭公民館館長)

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