【FILMS】コザから泊港へ

撮影者は沖縄市で今も営業をしている中部写真館の久場さん。家族で那覇の泊港まで見送りに行く映像で、途中で又吉通りにあった玉井飼料ビルや崇元寺跡に立ち寄るなど、見どころの多い映像です。

No. 0821-00
タイトル:コザから泊港へ
撮影者:久場良信(Yoshinobu Kuba)

撮影メディア : 8mm Film
本編時間: 3m48s
撮影時期 : 1964年3月8日
主なロケ地 : 泊港 (沖縄県那覇市前島)
スキャン方式 : Frame by Frame

 

ゴヤ十字路近く(現 一番街入口)

冒頭はコザの映像。きゆな百貨店と大阪屋時計店の映像が映し出されます。二つの映像を合成したのが下の画像です。

二つの建物の間には、現在一番街のアーケードが設置されています。

コザ市のきゆな百貨店
▲合成した冒頭の二カット。横断幕が貼られているのが、現在の一番街の入口。
(クリックで拡大)

又吉通りの玉井飼料ビル

コザを出発し、那覇行きのバスに乗ってやって来たのが玉井飼料ビル。現在も又吉通りに存在します。ちょうど真向かいに与世山澄子さんのお店、インタリュードがあります。玉井飼料ビルは、現在もほぼそのまま。二〜三階の窓枠はいまだに木製のままという、味のある建物です。

玉井ビルの室内は、モノクロらしい、陰影とコントラストを活かした美しい映像で、ハードボイルド映画の探偵事務所のようなかっこ良さです。撮影者がプロのカメラマンだけのことはあります。

▲2019年5月現在の玉井飼料ビル。ほぼそのままの形で残っています。

崇元寺石門

続いて訪れるのは崇元寺跡。石門の中で、記念撮影を行っています。石門の内部は少し高くなっているので、門の向こう側の建物が見えていますが、これは現在は無くなっています。

▲左が映像の石門。右が2019年の石門。木がずいぶん育っています。

 

泊港と周辺の風景

つづいて泊港の入口の映像。ターミナルビルを背にして、一号線(現 国道58号線)の方向を向いて撮影しています。ここで気になるのは「泊自動車」という壁の文字。

▲一号線の向こう側に、「泊自動車」という文字が見える。教習所なのか?

那覇市歴史博物館(下記リンク)のページに泊港の航空写真を確認して見ると、下のリンクの画像が見つかりました。右下のほうに、自動車教習所のようなコースが見えます。詳細はわかりませんが、練習所、あるいは試験場のような施設があったようです。現在庫の場所はパチンコ屋になっています。

» 港/泊港(航空写真)|那覇市歴史博物館(泊自動車)

泊港ターミナルは、現在は複合施設の「とまりん」の一階部分にありますが、かつては独立した建物で、中央に立つ塔のようなでっぱりが特徴的な建築でした。

▲泊港ターミナル(現 とまりん)

当時は大きな建物が少なかったので、港の外の住宅や商店が見えています。その中には現存する建築もありました。下記の写真の赤丸の二つです。1つは国道58号線沿いの交差点にあるお弁当屋Hotmottoの入っている建物。もう一つはその隣にある元自動車部品店。ここは屋上から突き出した階段が特徴的です。手前に大きなアパートがあるため同じ方向からは見えませんが、反対の国道側に回って探して見ると、同じ階段が見えます。

▲上の画像の赤丸部分の建築は現存している(2019年現在)

 

▲現存する背後の建築。現在はHotmottoの店舗

 

▲上記の隣にある特徴的なの階段の建築。

泊高橋の漁港

港の別れの場面は、お婆ちゃんが良い味を出していて、しみじみと見ることができます。しかし、風景も港の基本的な形が変わらないおかげで、現代と比較しやすく、時代とともに変化している様子がよくわかり興味深いものがあります。

例えば下記の画像で言うと、船の船尾の後ろに見えるのが泊高橋方向。今は親水公園ですが、”とまりん”と親水公園が整備されるまでは、漁港と魚市場がありました。映像にも遠めに漁船の溜まりが映っています。

他にも泊港の施設、周辺の風景など、写真などと見比べてみてください。

(文:真喜屋力)

 

▲出港する那覇丸(RKK)。船尾の背後が泊高橋。(クリックで拡大)

 

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