【FILMS】名城浜

かなり古い映像で、興味深い内容のフィルム。フィルムが収められた箱にはメモ書きがあるのですが、額面通りに受取りにくく謎が残ります。

No. 1011-01
タイトル:名城浜
撮影者:島袋昇信(Shoushin Shimabukuro)

撮影メディア : 8mm Film/B&W/16fps
本編時間: 6m45s
撮影時期 : 1950〜60年ごろ
主なロケ地 : 北名城ビーチ? (沖縄県糸満市)
スキャン: Frame by Frame

本フィルムの箱には「3)50.11. 遠足/名城浜(アゲナ)学事奨励会」と記されている。

「50.11」と言うの通常は「1950年11月」を示すと考えがちですが、さすがに古過ぎる。このフィルム(No. 1011)には二本のフィルムを繋いで一本に治めたものでした。後半には「塩屋へ」と言うタイトルで1960年撮影と書かれています。フィルムの感じとしては同時代の物にも見えるので、ひょっとしたら「60」をまちがて「50」と書いた可能性もなきにしもあらず。(下の画像を参照)

また「遠足/名城(アゲナ)」も謎で、「名城」は糸満市、アゲナ(安慶名)はうるま市。二つの地域の距離はかなり離れている。もしかしたこのフィルムの前半と後半でロケ地が変わっているのかもしれません。あるいは撮影者の名前がアゲナさんなのか?

 

▲リールに「50.11.」(左)、ケースには「名城浜(アゲナ」(右)書かれている。

 

冒頭は草むらをかき分けて海岸に向かう学事奨励会の人々です。

学事奨励会とは、地域の人々が、その地域の子供たちの教育をバックアップするための組織、あるいはイベントで、戦前に生れ、現在も続いています。遠足などのイベントから、皆勤賞などの授与、文房具の支給などを行っています。歴史的に言えば、子供たちがまだ家の農業などの仕事を手伝うのがあたり前だった時代。学校に通って教育を受けることの大切さを伝え、地域で子供たちの教育をバックアップするために生れたわけです。

» 近代沖縄における学事奨励会の就学及び修学機能 一読谷村の事例を中心に- 嘉納英明

 

▲子供たちのファッションにも注目であります。

途中子供たちが飲んでいるのは「チューチュー」などの名称で呼ばれるビニール容器に詰めて凍らせた氷菓子。ボクラの世代(地域?)ではミッキージュースがメジャーで、細長い三角形の形状をしていました。夏場の子供たちの駄菓子の定番です。ここで飲まれているのは、もう少し太めの容器に入っているようです。

戦後の沖縄は清涼飲料水なども様々な種類が造られていたので、こういった駄菓子系も子供向けにいろいろあったのかもしれません。

▲「チュウチュウ」を飲む(吸う?)子供たち。

途中で休憩をしながら海へと向かう子供たち。茅葺き屋根の集落や、路線バスなどがチラチラと写ります。

1950年ごろは、トラックの荷台にベンチなどを置いて走る乗り合いバスも走っていたので、やはり時代的には50年代中ごろの映像なのでしょうか?

▲路線バスがけっこう立派。

バスを降りると小さな集落。森山商店と言う雑貨屋さんが映し出されます。

看板に書かれた「ロストル」と言うのが気になります。ネットで調べると、キャンプなどでたき火の上にのせる金網のような道具。ひょっとしたら、カマドとか使うのに日常必需品だったのでしょうか。この辺の真偽も気になります。

▲森山商店!ロストルってなんだ?

海岸は岩場の多い場所です。名城のどの辺でしょうか。今もこの岩はあるのでしょうか?

情報がありましたらお教えください。

 

▲みんなで記念撮影。

 

で海岸の場面のあと、いきなり沖縄風の古い民家でのんびりする映像になります。家に帰ったのか?それとも名城に親戚の家でもあるのか?

 

そして最大の疑問の一つが最後近くに映るパンショット。下に画像を繋げたパノラマ画像を貼っておきます。

最初は糸満市内かと思ったのですが、なんだか違うようにも見えます。下の写真を栗樟ると、大きなファイルのパノラマ画像が見られますので、撮影地を当ててみてください。

 

▲ラストのパノラマショット(クリックで拡大: 6.1MB)

 

そして最後の謎。テレビの画面を映したとおぼしき映像でフィルムは終わります。どう見ても海外ドラマを見ているようです。この番組名がわかれば、時代もわかるかもしれません。

あ、よくよく考えると、テレビ放送を行っているということは、1950年ってことはまずないと言うことですね。

 

(文:真喜屋力)

 

 

 

 

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